2017年3月27日月曜日

イスラムについて 5

 松本清張の 『砂漠の塩』 という小説がある。40年以上も前のことになると思うが、平幹次郎、佐久間良子の主演で 『愛と死の砂漠』 と題名を変えてテレビドラマ化された記憶が鮮明に残っている。

 この小説は昭和42年(1967年)初版、海外旅行はごく限られた人達の贅沢であり、航路に関してもアンカレッジ経由でヨーロッパへ向かうなど、今と比べると利便性も悪いことがわかる。

 この時代に、ダマスカスからバグダッドまで二人はバスで向かう。この平和な様子はなんだろうか。今ならさしずめISあたりに拉致されて、身代金の要求があり、大騒ぎという所だろう。

 エジプトはまだナセル大統領のアラブ連合、イランはパーレビ国王(モハマンド・レザ・シャー)の施政下、イラクも第二共和政下で不安定であることは不安定なのだが、こんな旅行が小説の上であっても可能であったことが今では奇跡のような感じがある。

  ふと思い出したことを追記: エジプトのムハマンド・アリモスクから市街地を眺めると、眼下に二つのモスクが並んでいる。そのどちらかがリファーイモスクだったと思うのだが、ムハマンド・アリモスクから見ると、右側のモスクの内部にイランのパーレビ国王のお墓がある。入り口で立ち入りを拒否されるが、ちょっとの心づけで入ることができた。イラン国旗がお墓の横に設置され、聖職者がコーランを唱える。神の力は偉大であろうが、金の力もなかなかである。

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