池波正太郎原作の 『仕掛け人 藤枝梅安』。悪人相手の人殺し(仕掛け人)のと言ってしまえばそれまでだが、針医者と爪楊枝職人の複雑な人生を織り交ぜながら淡々と過行く時間を描いている。その合間に登場する梅安の手による料理は、素材のシンプルさと手軽さか、自分でも作れるような気がして、しかしながら期待した味に仕上がらないのは、自分のセンスの悪さなのか味覚の貧弱さなのか。
この梅安の仕掛け人シリーズは、梅安が自宅を新築し始めるころに絶筆となって突然終了する。その頃の池波正太郎の随筆の中で、『豆腐も昔のような味が無くなった』 と、今の大量生産の豆腐の味を嘆く部分がある。さらに、豆腐だけではなく、その嘆きが色々な食物や、季節感の無くなった現在の食卓に及んでいたように記憶している。
さて、そんなところで紹介するのは、高崎で三代続いている豆富屋さん。ずっしりとした厚揚げ。今日は焼いてビールのつまみにして、明日は煮物に。油揚げは三枚購入して、今日は一枚をチンゲン菜とみそ汁に。寄せ豆富は薬味を刻んでそのまま。主菜は牡蠣と肉とにんにくの芽を炒めたものなので、副菜はあっさりと。 ちなみに厚揚げは午前中に売り切れてしまうこともあるので要注意です。
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