2017年6月27日火曜日

米国大統領、リンカーンの故事

 かつて民主党(現民進党)が政権を奪取するかという時、党首選の顔ぶれを見て妻が私に聞いてきた。 『野田さんてどうなの』 と。 『あれはだめだ、顔が悪い』 にべもない答えに妻は納得のいかない表情を浮かべたままだったことが記憶に残っている。

 今また幹事長として表舞台に出てきてはいるが、相変わらずの悪相に変わりはない。変わりがないのはその悪相と、その悪相が及ぼす影響を本人自身が自覚していないのも当時のまま。 『マニフェストというものがあります。これを命がけで実行する』 と公言して実行しなかった男と政党を国民は忘れていない。

 司馬遼太郎の随筆集に、こんな話が載っている。リンカーンが組閣の人選で頭を悩ませていた時、組閣参謀がある人物を推薦した。が、リンカーンはかぶりを振った。わけを聞くと、『顔がよくない』 『え?大臣を顔できめるんですか』 『人間、若い間はまだ生な顔だが、四十を過ぎると、その人間の経験、思想、品様の全てが第二の顔を作り始める。四十を過ぎた人は自分の顔に責任をもたねばならない』 (司馬遼太郎が考えたこと1 顔の話)

   さてそうは言いながら、先日証明写真を撮ったところ、自分の人相の悪さとジジ臭さにあきれてしまった。あまりにひどいと妻に見せたら、『そうでもない』 と言われたところをみると、私の悪相も板についてしまったようでショックだった。

2017年6月26日月曜日

梅雨時の過ごし方

 梅干を漬け込んで数日、澄んだ梅酢が上がってきたら重しを減らして梅雨明けを待つ。時折梅酢の濃度が均等になるように、ポンプを使って攪拌する。昔のような塩分濃度の高い梅干を漬けている分には心配はないのだが、10%前後くらいからカビの発生に気をつけないと取り返しがつかなくなる。

 久しぶりに時代小説を離れて、大沢在昌を読んでいる。新宿鮫シリーズは読み終えて、氷の森。今読み返しているのは、気になった個所を探すため。最後の数行に通じる個所が、パラパラとめくっていても見つからないので初めから。探偵ものになっても、なかなか新宿鮫の憂鬱から離れられないが、気分転換も含めてパラパラ・・・・・

 『人間って、木のようなもの。自分では好きなように動き回っているつもりでも、実際は簡単に動くことができない。都会は森。動いているように見えて、動けない人間たちが、ぎっしりとひしめき合っている。』 そして、

 『森があって、皆そこに集まる。鳥や虫たちが餌を取りに集まってくる。緑の葉が繁っていて、花も咲き、実もなっている。どれもが生きている木だと思って一本の木にとまってみたら、その木だけ、その一本の木だけが枯れ木だった。なのに外からは、枯れ木だということが少しもわからなかった。』 『その枯れ木が枝を伸ばし、光をさえぎり、他の木を枯らせ、腐らせていた。』

 読み返しながらこの部分を見つけ出し、やっと全体の様子が俯瞰できたように思えた。


2017年6月21日水曜日

考える台所

 日々の献立を考えるということの大変さを知ると、主婦の偉さがよくわかる。週に二回の休日に食事当番をしてみれば、さらにその偉大さが身に染みる。

 ということでこんな本に飛びついてみたのだが、考えないようになるためには相当な準備と経験が必要になってくることに愕然とさせられる。この本の述べていることは、剣術や禅の修行にも通じるものがあって、ひいては人生訓に近いものも含まれていることに気付く。

 考えてみると、毎日毎日同じものばかりを食べていればこんな心配は起きないもので、多種多様な食材や調理方法がネットやテレビで紹介されることによって食事は複雑化されたと言って良いのかもしれない。贅沢ここに極まれりということか。

 さてと、明日の献立はどうしようか・・・・・


2017年6月20日火曜日

イスラムについて 6

 ハラル・ジャパン協会のHPによれば、今はラマダン (5月27日~6月25日) 断食月の真っ最中。この間、日の出から日の入りまで飲食は勿論、煙草も、唾を飲み込むことさえはばかられる。酒は論外。

 最近NHKの番組で、医師、もしくは指導者の管理下にある状態での断食の効用や危険性について放送されたが、一般の断食と違ってイスラムの断食は、危険性と言えば砂漠地帯などで行う場合の脱水症状くらいだろうか。日没から日の出までの間に十分な給水と栄養を補給できるので、思ったよりは簡単と言っていいかもしれない。何しろ国王、王族から健康である人であればみんなが参加する行事でもあって、連帯感が苦痛を和らげてくれるところがある。

 それでも日中は辛い。日が昇り、これから夕方まで断食と思うと、数日間は禁断症状ではないが、急に飲み物や食べ物が恋しくなる。しようがないから、木陰で座っているか川辺で涼風にでもあたる。あとは読書くらいか。

 結局少々の違反はあったものの、約3週間の付き合い断食は終わったのだが、ラマダン明けの達成感というのか、連帯感は想像以上のものがあって、通過儀礼のようにその感動は心に残る。そのラマダン明けの食事に、ビールを一杯と思うのは悲しい性というのだろうか。

 

2017年6月8日木曜日

上野国分寺跡


  

 群馬県高崎市と前橋市の境にある上野国分寺の跡。写真は七重搭跡の基壇上から講堂の基壇を撮影。ここから東に数キロのところに、国分尼寺跡もある。

 駐車場から伽藍に向かうと、ガイダンス施設 『上野国分寺館』 があり、受け取った資料からこの伽藍の盛衰が読み取れる。天災の大きなものは、818年(弘仁9年)の地震(M7.9)、1108年の浅間山の大規模な噴火。人為的なものは939年(天慶2年)の平将門による上野国府の占領(この62年後に平重義が金堂に十一面観音像を奉納していることから、壊滅的な破壊はなかったのではと思われるが)と、1180年(治承4年)の足利俊綱による国府焼き討ちなど。

  また同じ資料には、1030年の 『上野国交替実録帳』 から、この時期には多くの建物施設がこの頃までに失われ衰微しつつある状況がうかがえる と記されている。ただ七重搭の記載がない所からまだ残存していたのではないかと推定している。

  

  

梅酒の季節がやってきた かみつけの里博物館

保渡田古墳群のうち、八幡塚古墳前方部にある埴輪群(復元)

  群馬県高崎市井出にある保渡田古墳群。博物館を備えた公園として整備されている。その中でも八幡塚古墳は後円部頂上に石室を備え、当時の形に復元されている。

 この八幡塚古墳の脇の駐車場に農産物直売所があり、季節になると地元箕郷町の梅が販売される。梅酒の季節は古墳群の見学が恒例となる。

 箕郷町の梅は白加賀、南高梅に押されて分が悪い。かと言って味に大きな差があるわけでもなく、良質な白加賀は南高梅を凌駕するほどの実力を持っている。ブランドとして仕上げた紀州の人達の戦略上の勝利と言うべきなのだろうか。

 今になって知ったことだが、アルコール度数20%以下の酒で梅酒を作ることは、酒税法に違反するらしい。国税庁のHPにもしっかりと書いてあった。あるところで日本酒で作った梅酒が一番美味しいと言った人がいたのだが、知っていて言っているのかいないのか・・・・・