2020年12月25日金曜日

歌舞伎役者や狂言役者が映画を壊す

   悪いことに、主演片岡千恵蔵と主演八代目中村芝翫の二本を見ることになってしまった。映画『十三人の刺客』の話しである。片岡千恵蔵主演のものは、1963年封切りで、監督は工藤栄一。古いからどうこうではなく、背景やセットなど、当時としては相当大掛かりなもので、また殺陣も見ていて迫力があり、見飽きるということはなかった。

  中村芝翫のものは、2020年のテレビドラマとして製作されたもの。中村芝翫の顔が片岡千恵蔵のように見えるのはなぜかわからないが、異様に頭が大きいように見えた。まぁしかし、この時代にあの殺陣の下手さはないだろう。水谷豊並みと言うか、とにかく歌舞伎じゃないんだから、もう少し練習した方がいいのではと思えた。話し方や表情もどうにも構えているようで演技に味というか、引き込まれるものがない。

  一度書いたことがあるが、まぁ歌舞伎能狂言の世界から映画にという中で最低と言うなら、野村萬斎。和田竜原作の『のぼうの城』で、役処と言うならば酒巻靱負あたりならばまだ良かったものを、最悪なことに主演成田長親を演じることになって、映画は噴飯物に仕上がった。あのキョロキョロと動く目は、とても主人公のでくの坊ぶりは演じきれないし、背が低すぎる。 監督は誰だったろうか、知る気にもなれない。歌舞伎役者や能狂言役者を使う安易さが招いた愚作というべきではないだろうか。

 

 

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